箔や円板など板状に加工したアルミは、さまざまな分野の製品で用いられます。例えば、アルミを薄く伸ばしたアルミ箔は家庭でよく使われており、円板は装飾から機械部品まで多用。加工方法が多岐にわたりますので、自社のニーズに合った加工会社を選ぶ必要があります。
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アルミ箔を製造する際に利用されているのが圧延加工です。圧延は回転する2つのローラーに金属を投入し押しつぶしながら伸ばしていく加工方法をいいます。アルミ箔の製造で用いられており、圧力を加えることで薄い金属箔を連続的に作成できます。
金属を板状へ加工する場合、他の加工方法より効率がよい点も圧延加工の魅力です。高速かつ大量生産が可能で、生産コストを抑えやすい強みがあります。詳しくは以下のページで解説しています。
アルミを円板に加工する際には、打ち抜き加工やレーザー加工などが使われています。打ち抜き加工は、金属の板に上から型を押し当て圧力を加えて金属を打ち抜く加工方法です。幅広いサイズ・形状に対応できるほか、型があれば同一形状のものを複数作成できます。
一方のレーザー加工は、高精度なレーザーでアルミを加工する方法です。ただ、レーザー加工はアルミの反射率などの影響から難易度が高く、対応している加工会社は限られる点に注意が必要です。
箔や円板といった板状のアルミ素材を加工する際、最初に考慮すべきは「切断方法」です。要求される形状や精度によって最適な切断方法は異なります。例えば、直線的なカットにはシャーリングがコストや作業効率の面で優れています。
一方、複雑な輪郭や微細なパーツを切り出す場合は、レーザー加工やウォータージェット加工が適しています。特にウォータージェットは、熱の影響を与えないため、熱変形を避けたい箔材や薄板の切断に非常に有効です。
加工するアルミの材質や厚み、そして最終的な製品の用途に応じて、適切な切断方法を選ぶことが、品質の高い製品を作る上で重要になります。
アルミの板状素材は、そのままでは用途に制限があるため、曲げ加工によって立体的な構造を持たせる場面が少なくありません。ベンダー機を使って円板をL字や箱状に成形すれば、部品としての機能性が格段に向上します。ただし、アルミは他の金属に比べて割れやすく、反発力も大きいため、素材の特性に合わせた曲げ角度や金型の選定が欠かせません。特に箔材など薄く柔らかい素材では、押し込みすぎによる変形にも注意が必要です。高精度を求める場合には、素材選びと加工機の調整が結果を左右します。
アルミの箔や円板といった板状素材に孔を開ける工程は、装飾や圧力調整、軽量化を目的として行われることが多く見られます。薄板の場合は特に、加工中の変形やバリの発生を抑える工夫が求められます。ドリルを用いた手動の穴あけも可能ですが、寸法精度や仕上がり品質を重視する際には、専用のパンチングマシンやタレットパンチが効果的です。複数箇所への連続加工や、一定形状の繰り返し処理が必要な場面では、金型の選定や加工圧の調整が完成度に大きく影響します。素材の厚みや直径によっても適した加工条件は異なりますので、個別の用途に応じた工程設計が重要になります。
引用元HP:ものづくりエンジニアのための「はじめの工作機械」
https://monoto.co.jp/shearingmachine/
アルミの板状素材を直線的に切断する際に用いられるのが、シャーリングマシンです。この装置は、特に円板や定尺の箔材を大量に処理する場面で活躍します。鋭い刃を上下から挟み込むようにして切断する構造を採用しており、精度とスピードの両立が可能です。曲線や複雑な形状には不向きですが、平板などのシンプルな形状であれば優れた生産性を発揮します。切断面が比較的きれいに仕上がる点も特長で、下工程でのバリ処理作業を軽減できるのが利点です。刃のクリアランス調整は、板の厚みや材質によって仕上がりに影響するため、適切な設定が求められます。
引用元HP:アマダ公式HP
https://www.sheetmetal.amada.co.jp/column/course/basis05/
タレットパンチプレスは、板状のアルミ素材に対して多数の形状の穴を高精度で開けることができる機械です。タレットと呼ばれる円形の金型台に複数の金型が装備されており、プログラムに従って順次切り替えながら加工を進めます。円板の孔あけや装飾パターンの作成、さらにはエンボスや通気孔など、多目的に使用されています。板厚や素材の硬度によっては金型の摩耗が早まることがあるため、加工条件と保守管理のバランスも重要です。薄い箔材の場合には、圧力設定と支持治具の工夫によって反りや変形を抑えることが求められます。
引用元HP:メカニー公式HP
https://www.mechany.com/products/pressbrake/23352rg50
ベンダーは、板状アルミを任意の角度に曲げるための機械です。箔や円板を成形する際、L字や緩やかなカーブをつけることで立体的な用途に展開することが可能になります。特に、薄い板材では曲げた際に割れやすく、適切な押し込み圧やR形状の設計が必要です。また、円板のように寸法が大きい素材では、均等な曲げ圧がかからないと歪みや反りの原因になります。ベンダーには手動式とNC制御式があり、加工精度や作業効率を考慮して最適な機種を選ぶことが大切です。板厚や曲げRの仕様によっては、試し曲げを行うことで歩留まり改善にもつながります。
引用元HP:ケイアイ公式HP
https://e-keiai.co.jp/Corporate/Laser
レーザー加工機は、アルミ板を高温で溶融・蒸発させながら精密に切断する装置です。一方で、熱の影響を嫌う場合はウォータージェットが適しています。いずれも非接触加工のため、箔のような繊細な板材でも材料変形を抑えつつ複雑な形状を加工できます。円板の中心に小さな穴をあけたり、周囲を波形に成形したりといった微細な加工にも対応可能です。いずれの装置も加工速度や切断幅、材料との相性を事前に確認することで、安定した品質を実現できます。
板状アルミ素材には、純アルミ系のA1050や、合金系のA5052、A6061など多様な種類があります。これらはそれぞれ加工性に差があり、例えばA1050は柔らかく加工がしやすい反面、強度が不足する場面もあります。反対に、A5052は高い機械的強度を備えていますが、加工時には割れが生じやすいため注意が必要です。とくに、薄い箔材の場合は曲げや穴あけで変形や破損が起こりやすく、板厚が増すにつれて必要な加工圧も変動します。こうした素材特性を理解せずに加工を行うと、仕上がりの不良や歩留まり低下につながるため、事前の材質選定と加工条件設定が不可欠です。
レーザー加工など、熱を伴う方法を用いる場合、アルミの板状素材では熱膨張や局部的な歪みが問題になることがあります。特に箔のように薄い素材は、熱が集中しやすく、反りや歪みが生じやすいため、固定治具の工夫や加工順序の最適化が求められます。円板加工においても、中央と外周で熱の逃げやすさが異なるため、設計段階から温度変化の影響を考慮することが重要です。冷却工程や断続加工の導入によって、熱による変形リスクを軽減することができます。
板状のアルミ素材を切断・穴あけした後には、エッジに鋭いバリが発生することがあります。このバリは安全面だけでなく、組み合わせ部品との干渉や塗装不良の原因にもなります。とくに箔のような薄物では、バリを除去する際に素材自体が曲がったり傷ついたりするリスクもあるため、適切な研磨工具や洗浄装置の選定が必要です。また、酸化しやすいアルミ表面は、加工後にアルマイト処理などの防錆処理を施すことで、製品寿命と外観品質を保てます。仕上げは加工工程の一部と捉えて丁寧に行うべきです。
板状のアルミは、建築資材としても広く活用されています。とくに大型の円板や外装パネルなどでは、軽量でありながら高い耐候性を有している点が大きなメリットです。平滑な板面を活かして意匠性を高めるデザインも多く、住宅や商業施設の外装に採用されるケースが増加しています。アルミの板材は腐食に強いため、沿岸地域など過酷な環境下でも使用可能です。さらに表面処理によって光沢や色味の調整もできるため、設計自由度が高い素材として重宝されています。
産業機械や装置の外装部品として、アルミの板材は多用されています。円板や箔を必要な形状に打ち抜き、曲げ加工で立体化することで、軽量で丈夫なカバー部品が製作可能です。薄板であっても適切に設計すれば、十分な剛性を確保でき、機械の保護機能や遮音性能も持たせることができます。加えて、非鉄金属であるアルミは、磁気を帯びない特性があるため、電子機器の筐体部材としても好まれます。板状という特性上、設計の自由度が高く、限られたスペースを有効活用しやすいのも利点です。
軽さが求められる輸送機器では、アルミの板状素材が内装部材や仕切り板などに広く利用されています。箔や薄板をベースに断熱材と組み合わせたり、円板形状で軽量化された支持部品として加工されたりするケースも見られます。電車やバスの天井パネル、トラックの内装壁など、重量制限がある構造体においては、アルミ板の恩恵が特に大きいです。強度と柔軟性のバランスに優れた合金材を使えば、強風や振動にも耐える部品として機能します。
アルミを板状に加工したい時は、慎重に加工会社を選びましょう。
加工会社を選ぶ際は、担当者の提案力や対応力を確認する必要があります。安心感を持って任せるためにも、自社のニーズに即した提案が可能な会社を選びましょう。また、納期やロットなど細かい要望に対する対応力もチェックが必要です。どこまで対応してくれるか、打ち合わせの際にしっかり確認しておきましょう。
加工会社の得意な分野も確認が必要です。一口にアルミ加工といっても、会社によって得手不得手があります。特定分野に強みを持つ会社もあれば、そうでない会社もあるため、慎重な確認が求められます。ミスマッチを防ぐためにも、板状加工が得意な会社を選びましょう。
加工会社の実績も確認が重要です。加工会社によっては、公式サイト上でアルミの加工実績を公開しています。問い合わせる前に一度チェックしておくとよいでしょう。また、サンプルや見本を取り寄せできる場合、相談してみるのもおすすめです。
アルミを板状に加工したい場合、加工会社の得意分野はもちろん、加工実績も考慮して会社を選びましょう。特に重要なのは実績です。実績の多い加工会社なら高い提案力・技術力がありますので、しっかり確認しておきましょう。
本サイトでは「アルミパイプ・棒」「板」など、作りたい部品ごとにおすすめのアルミ加工会社をご紹介しています。アルミ加工会社をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。
既存製品の改良や新製品開発において、より高品質な素材を求めるメーカー担当者必見! 代表的な二次加工展伸材である「管材」「板材」「線材」それぞれの領域で高い技術や深い知見を持つメーカーを紹介します。※1
※1 当サイトでは、一般社団法人日本アルミ協会の「圧延・押出部門(二次加工)」会員名簿に掲載されている32社を二次加工のアルミ加工会社と定義している。
(2024年4月18日調査時点)
参照元:https://www.aluminum.or.jp/about/memberlist/
※2 参照元:一般社団法人 軽金属学会 小山田記念賞(第58回・第59回) 参照元:https://www.jilm.or.jp/page-recognition0221
※3 2024年5月16日編集チーム調査時点。