アルミの溶接とは、アルミニウムの部品同士を接合する加工方法です。溶接することで強度が高く、耐食性に優れた接合部ができあがるため、航空機や自動車、建築など多くの分野で活用されています。主な溶接方法には「TIG溶接」「MIG溶接」があり、それぞれ特徴が異なります。ここでは、その詳細をご紹介します。
目次 閉じる
溶接加工とは、アルミ同士を熱で溶かして接合する加工法です。溶接は、複雑な形状の製品でも製造することが可能。さまざまな製品を作る場合に欠かせない重要な技術です。
アルミ溶接は、非常に高温で行う必要があります。なぜなら、アルミは融点が600℃程度ですが、表面にある酸化被膜の融点が2000℃程度だからです。また、アルミは熱伝導率も高い金属です。割れや歪みが発生しやすくなるため、アルミの溶接は難しい技術とされています。
アルミの溶接加工には、さまざまな方法があります。溶接の主流を占めるのが溶融溶接法ですが、なかでも広く使用されているのがイナートガスアーク溶接という方法です。この方法は、さらに、ティグ(TIG)溶接と、ミグ(MIG)溶接の2種類にわけられます。
ティグ溶接とミグ溶接は、電極とするものが異なります。
ティグ溶接は細いタングステン棒、ミグ溶接はアルミニウムの細いワイヤーを電極とし、溶接を行います。アークを発生させ母材と溶接棒を溶かしながら継手を形成するのがティグ溶接、アークを発生させ電極ワイヤーと母材を溶かして継手を形成するのがミグ溶接と覚えておくとよいでしょう。
ティグ溶接を行うと、金属の表面が酸化しにくく、スラグが発生しません。溶接面の欠陥発生が少ない点がメリットと言えるでしょう。
ミグ溶接は、ティグ溶接では難しいアルミの厚物の溶接や肉盛りを行える点がメリットです。
ティグ溶接で肉盛りを行うと熱がかかりすぎて母材が溶けてしまうリスクがありますが、ミグ溶接の場合は電極側、つまり電極ワイヤーが熱を持つため、母材に熱が伝わりにくくなります。母材が溶けにくい分、肉盛りが行いやすくなるのです。また、ミグ溶接は溶接速度が速いため、仕上がりが美しくなるといったメリットもあります。
アルミを溶接して製造された製品は、さまざまな用途に使われています。
特に、自動車関係の部品として使用されていることが多いようです。たとえば、フロントのエアロパーツ。経年劣化が起きにくく、割れたり変色したりすることがありません。また、車の外装パーツに使われている場合は、軽量なため省エネに役立つ、経年劣化がないなど、多くのメリットをもたらします。
アルミが持つ熱伝導率の高さも、車によい影響を与えてくれます。エンジン周りのパーツに採用すれば電熱性が高くなり、車を始動しやすくなるでしょう。
溶接加工は、アルミ同士を熱で溶かして接合する加工法です。非常に高温で行わなければいけないため、高い技術力が必要とされます。アルミの溶接加工を検討しているのであれば、実績を積んでいる会社に依頼するのがよいでしょう。適したサポートを行い、自社のニーズに応えてくれるはずです。
既存製品の改良や新製品開発において、より高品質な素材を求めるメーカー担当者必見! 代表的な二次加工展伸材である「管材」「板材」「線材」それぞれの領域で高い技術や深い知見を持つメーカーを紹介します。※1
※1 当サイトでは、一般社団法人日本アルミ協会の「圧延・押出部門(二次加工)」会員名簿に掲載されている32社を二次加工のアルミ加工会社と定義している。
(2024年4月18日調査時点)
参照元:https://www.aluminum.or.jp/about/memberlist/
※2 参照元:一般社団法人 軽金属学会 小山田記念賞(第58回・第59回) 参照元:https://www.jilm.or.jp/page-recognition0221
※3 2024年5月16日編集チーム調査時点。