アルミを電線などの線状に加工する際は、連続鋳造圧延法(CC法)が広く用いられています。ただし、アルミ合金の種類によって向き不向きがありますので、種類もしっかり押さえておきましょう。
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主に電線での使用に適したアルミ合金は次のとおりです。
1060系や6101系は。主に電線で用いられているアルミ合金です。一方、溶加材にはさまざまな種類のアルミ合金が用いられています。製品によって適したものが異なりますので、加工会社と話し合ってみましょう。
アルミを電線に加工する際は、主にCC法が広く用いられています。CC法は、金属を冷やしながら連続的に圧延を行う加工方法です。電線用として広く用いられており、継ぎ目のない線材を作ることができます。CC方は線材の太さを調整しやすく、電線はもちろん溶加材の製造にも適しています。このほか、押出加工によってアルミ線材を作る方法もあります。加工方法については以下で詳しく紹介しています。
連続鋳造圧延法(CC法)とは、溶けたアルミを冷却しながら連続的に圧延する製法です。継ぎ目のない線材を効率的に生産できるため大量生産に向いており、設備の稼働効率の高さからコスト削減にもつながる点が大きな利点といえます。一方で、対応できる断面形状が限られ、温度管理を誤ると内部欠陥が生じやすいという課題も抱えています。そのため、品質を安定させるには高度な制御技術が不可欠となります。
アルミ線材を安定した品質で生産する上で、太さの調整は極めて重要な工程です。CC法では圧延ロールの隙間を精密に管理し、寸法を一定に保つ工夫を凝らしています。加工中は温度変化で伸縮が起きやすく、放置すれば規格外の寸法になりかねません。そこで、製造ラインでは温度や圧力を自動制御し、常に安定した条件で圧延を行います。こうした取り組みが、導電性能や強度のばらつきを抑えた信頼性の高い線材の生産を可能にするのです。
アルミを線材に加工する代表的な方法として、CC法と押出加工が挙げられます。CC法は単純断面の製品を大量生産するのに適し、コストパフォーマンスの高さが大きな特徴です。一方、押出加工は設計の自由度が高く、複雑な断面形状や特殊な寸法にも対応できる柔軟性を持っています。そのため、導線や溶加材など大量生産を重視する場合はCC法が、特殊形状の部品や少量生産が必要な場合は押出加工が選ばれる傾向にあります。用途や目的に応じてこれらの工法を適切に使い分けることが大切です。
アルミは熱伝導性が高いため、加工中の温度上昇が製品寸法に影響を及ぼしやすい性質を持っています。過剰な加熱は膨張による寸法変化を、不均一な冷却は内部応力や歪みを引き起こしかねません。そこで、切削油や冷却水を活用して安定した温度条件を保つことが求められます。こうした熱管理の徹底が、寸法精度と品質を両立させた線材の製造に繋がるのです。
アルミ線材は柔らかく、加工中に表面へ傷が入りやすいという特徴を持っています。また、切断時に発生するバリを放置すると、導電性能や接合強度の低下を招く恐れがあります。これを防ぐためには、切削工具を常に鋭利に保ち、高速加工とこまめな切りくずの除去を心がけることが重要です。仕上げ工程で研磨やバリ取りを施すことで、見た目の美しさと耐久性をさらに高め、最終製品の信頼性を確かなものにします。
アルミは柔らかく、加工時に過度な力を加えると変形や傷が発生しやすいデリケートな素材です。そのため、線材を保持する治具やチャッキング装置には特別な工夫が求められます。例えば、接触面にクッション材を用いて圧痕を防いだり、滑り止め加工を施して安定した固定を実現したりします。こうした設計は精度の維持のみならず、作業効率の向上にも寄与するため、素材特性を理解した治具設計が高品質な線材製造の鍵を握っています。
アルミ電線製造の出発点となるのが押出機です。加熱したアルミビレットをダイスから押し出すことで、棒材や線材の一次形状を作り出します。均一な断面を持つ素材を安定的に供給できるため、その後の伸線工程において高い品質を確保できます。
押出された線材は、伸線機によって目的の太さまで引き延ばされます。複数のダイスを連続的に通過させることで、精密かつ効率的に直径を調整することが可能です。この工程によって、導体として必要な細さと表面品質が実現されます。
伸線加工で硬化したアルミ線は、そのままでは柔軟性や導電性が十分とはいえません。そこでアニーリング炉を用い、適切な温度で熱処理を施します。この工程により、しなやかさや電気特性を回復させることができます。
最後に、処理を終えた細線を複数本束ねて撚り合わせるのが撚線機です。単線では得られない柔軟性や耐久性を持たせることができ、自動車用ケーブルや電力線など、幅広い分野で使用可能な導体が完成します。用途に応じた撚り方を選べる点も重要な特徴です。
アルミ線材は導電性が高く軽量で扱いやすいことから、電線や導線として幅広く使用されています。銅に比べてコストを抑えられるため、大規模な送電線や建物の配線で採用されるケースが増加傾向にあります。柔軟性にも優れ、施工が容易で取り回しやすい点も大きなメリットです。こうした特徴を持つアルミ線材は、電気設備やインフラ整備に欠かせない存在となり、今後も長期的な需要が見込まれます。
アルミ線材は、溶接作業で母材を接合する溶加材としても重要な役割を担います。母材と適切に組み合わせれば接合強度が高まり、構造物全体の耐久性を確保することにつながります。アルミは酸化しやすく溶接性に課題を持つものの、合金組成の合った溶加材を選ぶことで、安定した溶接品質の実現が可能です。溶接構造物の性能は使用する線材に大きく左右されるため、用途に合わせた最適な選択が求められます。
軽量性と加工性を兼ね備えたアルミ線材は、自動車部品や建材へと応用範囲を広げています。自動車業界では、軽量化による燃費向上や環境負荷低減を目的として、その採用が拡大中です。線材から作られるバネや小型部品は、精密性が要求される電子機器にも適しています。さらに建材分野に目を向けると、網やフレームとして利用されるケースが多く、その高い耐食性が長期使用に貢献しています。このように、アルミ線材は実に多様な分野で活用されているのです。
アルミを線状加工したい場合、加工会社は慎重に選ぶ必要があります。実績はもちろん、納期や製造コストもチェックしましょう。
アルミの加工会社を選ぶ際は、最初に実績を確認しておきましょう。実績を確認すれば、加工会社の技術力を把握することが可能です。また、実際に作られた製品のクオリティも確認できます。加工会社選びでは納期やコストも大切ですが、できるだけ実績を重視しておきましょう。
依頼した部品の納期や、対応している最小ロットも確認が必要です。いずれも加工会社によって対応が大きく変わる要素です。もしスケジュール的に早く仕上げてもらいたい場合、加工会社に直接相談してみましょう。また、部品が少量のみ必要な場合、少ないロットで発注できる加工会社を選ぶことが重要です。
予算オーバーにならないように、加工にかかる費用も聞いておきましょう。ただし、コスト重視で加工会社を選んでしまうと、クオリティの低い部品を納品されてしまう可能性もあります。予算内に収めることも重要ですが、加工会社の技術力もしっかり確認しておきましょう。
アルミの線状加工に対応した会社を選ぶ時は、特に実績を重視しましょう。線状加工の実績が豊富で、自社のニーズに合った加工方法を提案してくれる会社が望ましいといえます。安心感を持ってして依頼したい方は、相談時に加工会社の実績やサンプルをチェックしておきましょう。
本サイトでは「アルミパイプ・棒」「板」など、作りたい部品ごとにおすすめのアルミ加工会社をご紹介しています。アルミ加工会社をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。
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※1 当サイトでは、一般社団法人日本アルミ協会の「圧延・押出部門(二次加工)」会員名簿に掲載されている32社を二次加工のアルミ加工会社と定義している。
(2024年4月18日調査時点)
参照元:https://www.aluminum.or.jp/about/memberlist/
※2 参照元:一般社団法人 軽金属学会 小山田記念賞(第58回・第59回) 参照元:https://www.jilm.or.jp/page-recognition0221
※3 2024年5月16日編集チーム調査時点。